Personal Income Tax

ベトナムの個人所得税

Personal Income Tax

ベトナムの個人所得税

ベトナムでは、特に日本の一般的な所得水準では個人所得税額が高く、また課税所得の範囲が広いことから、ベトナムに出張する場合や赴任する場合には注意が必要です。

■居住判定

以下のいずれかひとつでも当てはまれば居住者、ひとつも当てはまらなければ非居住者とみなされます。

  1. 最初のベトナム入国日から12ケ月で183日以上滞在
  2. 暦年でベトナムに183日以上滞在
  3. ベトナムに恒久的住所があり、ベトナム国外で居住者証明書を取得できない(恒久的住所:183日以上の賃貸契約がある場合、一時滞在許可証(TRC)の発行を受けている場合にあるものとされます)
なお、3. で他国の税務当局で居住証明書を取得できる場合は、ベトナムで非居住者として税務申告を行うことが可能です。

■居住者と非居住者の主な違い

                      課税範囲                        適用税率                           申告                                               留意点
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居住者    :    全世界所得                     5~35%(累進課税)       四半期仮申告および確定           申告基礎控除、扶養控除、社会保険料控除等が適用可能
非居住者:    ベトナム 源泉所得        20%                                   四半期仮申告のみ                       控除は適用されない

■赴任初年度の取扱

居住判定時の定義に基づき、最初のベトナム入国日以降に受け取った所得を申告します。発生した所得ではないこと、例えば5月に赴任して、6月に前年度勤務に掛かる賞与を受け取った場合にも課税されることに留意が必要です。個人所得税確定申告は暦年(1~12月)が課税年度ですが、初年度確定申告時には、暦年での滞在日数が183日以上の場合には赴任日~12月31日、183日未満の場合には赴任日から365日間を初年度として確定申告を行うことになります。次年度からは暦年となり、初年度との重複がある場合は次年度に重複分を控除して申告します。

■課税所得の範囲、主な留意点

日越租税条約に基づき、非居住者の場合には免税制度があります。以下の要件をすべて満たした場合に認可申請が可能です。
  1. ベトナム滞在期間が暦年で183日未満
  2. 給与・報酬がベトナム現地法人負担ではない
  3. 給与・報酬がベトナム国内の恒久的施設から支給・負担されていない
ただし、現状では認否がわかるまで時間がかかり、かつ否認される例が大半のため、実務上利用できるとはいえない状況にあるため、出張者を含めた非居住者は上で述べたように基本的にベトナム源泉所得に対する納税義務があります。
家賃手当は課税所得となります。法人名で契約締結し、法人から貸主に家賃を直接送金している場合に限り、家賃を除く税込給与(グロス給与)の15%と家賃実際支払額とのいずれか小さい額を課税対象の家賃手当として計算することが可能ですが、それ以外は手当全額が課税対象となります。
その他の手当は、会社の規程に基づいて一律に支給される手当は諸条件を満たせば課税対象外となることがあり、一部の社員のみに対するものは課税所得とみなされます。
具体的な例は以下の通りです。

・通勤規程等に基づいて一律に支給される通勤手当は非課税となります。タクシー・社用車通勤の場合は、業務利用目的の法人契約がある場合のみ非課税となり、個人精算の場合は課税手当となります。

・一部の駐在員・社員について外部委託した個人所得税申告費用を会社が負担する場合は、当該費用も課税手当とみなされます。