【2026年最新版】ベトナムの法人税(CIT)改正動向まとめ
ベトナムへ進出する日系企業にとって、ベトナムの法人税(CIT:Corporate Income Tax)は、進出スキームや実効税率、キャッシュフローを左右する最重要テーマのひとつです。2025年から2026年にかけて、ベトナム法人税を取り巻く重要な改正が立て続けに公布・施行されています。本記事では、ベトナム法人税の最新動向を、施行日順にわかりやすく整理して解説します。
ベトナム法人税(CIT)の基本
ベトナムの法人税は、標準税率が20%となっていますが、業種・所在地域に応じた優遇税制が用意されており、進出形態によって適用税率は大きく異なります。近年は、複数の論点で大きな見直しが進んでいます。ベトナム法人税の優遇税制を最大限に活用することなど合法的に節税することができるかどうかが、進出後のキャッシュフローを大きく左右します。
1. 決議198/2025/QH15(2025年5月17日施行)
民間経済の発展を促すものとして、ベトナム法人税の優遇措置が大幅に拡充されました。スタートアップ・中小企業(SME)支援、R&D投資の促進が主な柱です。
- スタートアップ企業の革新的な活動所得:2年間免税+その後4年間50%減税
- スタートアップの譲渡所得(個人所得税/法人税):免税
- 中小企業:初回ERC(企業登録証明書)発行日から3年間ベトナム法人税が免税
- 大企業が中小企業向けに実施するサプライチェーン教育訓練費:全額損金算入可
- R&D費用は200%損金算入可能、または課税所得の20%までを科学技術、イノベーションおよびDX開発基金として積立可能(併用不可)
2. 法67/2025/QH15(2025年10月1日施行)
ベトナム法人税法の本格改正により、PE(恒久的施設)を有しない外国企業によるEC取引・デジタルサービスのベトナム源泉所得も課税対象に取り込まれました。
さらに、前年度総収入に応じた軽減税率が導入されています。
- 前年度総収入30億VND以下:法人税率15%
- 前年度総収入30億VND超500億VND以下:法人税率17%
ただし、大企業グループの子会社・関連会社は軽減税率の対象外となる可能性があり、適用判定には注意が必要です。あわせて、ハイテク・インフラ・大規模投資等の優遇業種には10%(最長15年)、教育・医療・農業等には10%(期間制限なし)、製造業や困難地域投資には17%(最長10年)といったベトナム法人税の優遇税率・免税減税スキームが整理されました。
3. 政令320/2025/NĐ-CP・141/2026/NĐ-CP(2026年1月~3月施行)

2026年1月1日施行の政令320/2025/NĐ-CP、ならびに政令141/2026/NĐ-CPにより、ベトナム法人税の免税所得の範囲と判定方法が明確化されました。特に注目すべきは、年間総収益10億VND以下の小規模事業者に対するCIT免税規定です。
- 総収益の判定基準は、商品・役務収益、金融収益、その他収益を含む前年度総収益
- 操業期間が12か月未満の場合は、月割で年換算して判定
- 関連当事者関係にある免税対象外企業の子会社・関連会社には適用なし
- 2026年第1四半期にCIT予定納付済みの場合、過払額は相殺・還付の対象
4. 通達20/2026/TT-BTC(2026年3月12日施行)
外国契約者税(FCT)のうち、ベトナム法人税部分の取扱いが明確化されました。Net契約のグロスアップは、従来CITとVATを別々に計算していたものが、まとめてグロスアップする方式に整理されています。
課税収入 = Net収入 ÷(1 −VAT税率− CIT税率)と計算されることとなります。
なお、複合契約や建設工事、機械・設備供給を伴うサービス契約では、業務区分の可否によってベトナム法人税の税率の適用方法が異なります。契約締結時から内訳を明確に分けておくことが、ベトナム法人税の実務上のリスク低減に直結します。
まとめ:ベトナム法人税の最新動向を踏まえた実務対応
2025〜2026年のベトナム法人税改正は、①スタートアップ・中小企業向け優遇措置の拡充、②デジタル経済への課税強化と軽減税率の導入、③小規模事業者のCIT免税、④外国契約者税(FCT)のグロスアップ方法の明確化、という4つの方向で進んでいます。進出済み企業・進出検討中の企業は、自社が軽減税率や優遇税率、CIT免税の対象に該当するかを早急に再点検する必要があります。
当社では、ベトナム法人税の最新動向を踏まえた税務シミュレーション、進出スキームの検討、外国契約者税(FCT)の実務対応をワンストップでサポートしています。
ベトナム法人税に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する専門的な助言を意図したものではありません。本記事の内容に基づいて行われた対応の結果について、当社は責任を負いかねます。実際の手続や意思決定を行う際は、必ず最新の法令をご確認のうえで専門家へご相談ください。
