【2026年最新】ベトナム飲食店進出は儲かる?データで読み解く「儲からない店」が生まれる理由と成功の鍵
最近、弊社では飲食店事業者様よりベトナム進出に関するご相談を受けることが多くなりました。
そこで本記事では、ベトナム進出・出店を検討されている飲食店事業者様向けに、現地F&B(飲食)市場の最新概況と、進出成功の鍵となる「ボトムアップ型の採算検証」について解説いたします。

📑 目次
ベトナムF&B市場は「成長市場」なのか
ベトナムのF&B市場は、マクロデータ(※1)を見れば非常に魅力的な成長軌道を描いています。
- 2025年のベトナムF&B市場規模:約726.5兆VND(約4.4兆円、前年比+5.5%)
- 全国の店舗数:約329,500店
「約726.5兆VNDの0.001%を獲得できれば年間売上約72.65億VND(約4,400万円)」
「市場が5.5%で拡大しているなら、ベトナム進出のチャンスではないか」
進出を検討する日系企業にとって、そう考えたくなる数字です。
しかし、その裏側で、2025年上半期には全国で50,000店以上のF&B店舗が閉店したと報告されています。(※1)
調査対象481事業者の42.70%が「5%以上の減収」

2026年上半期のデータは、「ベトナム市場全体の成長」と「個別事業者の成長」が必ずしも一致しない実態を、さらに鮮明に示しています。
2025年上半期の市場規模は406.1兆VNDで、2025年6月末の店舗数は299,900店でした。2026年上半期の市場規模は432.7兆VND(約2.6兆円、前年同期比+6.55%)に増加、2026年6月末の店舗数も329,200店と、前年同期末より約3万店増えています。(※2)
この「+6.55%」の名目成長率には以下のマクロ要因(物価高と季節要因)の影響も考慮する必要があります。
- CPI(消費者物価指数): 2026年上半期平均で前年同期比+4.38%の物価高
- 旧正月(テト)商戦の時期の違い: 2025年はテト商戦が2024年12月と2025年1月にまたがった一方、2026年はテトが約3週間遅く、テト商戦がほぼ2026年上半期に含まれていた
一方、調査対象481事業者への2026年調査では、売上動向は以下の通りでした。
- 前年比5%超の増収(成長)20.22%
- 前年比±5%未満 (安定) 37.08%
- 前年比5~20%の減収 27.53%
- 前年比20%超の減収 15.17%
つまり、調査対象481事業者の42.70%(27.53%+15.17%)が、前年同期比5%以上の減収と回答しています。
42.70%という数値は、調査対象481事業者(15省市、うちハノイ・ホーチミンの事業者が全体の8割を占める)の回答比率であり、ベトナム全土の全F&B事業者の数値を直接示すものではありません。しかし、「市場全体の名目成長率」だけで個別の出店採算を判断することがいかに危険かを示す重要なデータです。
市場が伸びても「儲からない店」が生まれる主要な3つの理由
市場規模が拡大しているにもかかわらず、なぜ個別の飲食店では売上や利益が伸びないのでしょうか。
1. 「市場の成長」≠「自店舗の売上成長」
2026年上半期の市場規模は前年同期比6.55%増加した一方、店舗数も2025年上半期末の299,900店から2026年上半期末の329,200店へ増加しています。2026年上半期調査レポートでは、市場全体の売上は増加したものの、1店舗当たりでみれば売上はほぼ横ばい、ないし若干低下したと分析しています。
つまり、市場が成長しても、その成長分をすべての店舗が等しく取り込めるわけではありません。十分な売上を確保できなければ、「市場は成長しているのに儲からない店」が生まれます。
「市場の0.001%を獲得できれば72.65億VND」というトップダウン計算は算数上成立しても、「なぜ自社がそのシェアを取れるのか」の根拠になりません。出店計画では、全体の市場規模からではなく、まず自社が狙う商圏・顧客層・価格帯を明確にし、そのうえで客数・客単価・席数・回転率などから現実的な売上を積み上げる必要があります。
2. 「市場の需要」≠「自店舗への来店」
2026年上半期調査レポートによると、資金の流れがより選択的になっていると分析しています。言い換えれば、消費者は「支払う価値のある体験(Value for Money)」を厳選するようになっている、と捉えられます。
市場の成長機会を獲得するには、品質・価格・接客・店舗体験を通じ、現地消費者に明確な価値を提示できなければなりません。単なる「安さ」ではなく、価格に見合った満足度を提供できるかが明暗を分けています。

3. 「売上の確保」≠「店舗利益の確保」
売上を確保できても、原材料費や賃料、コンプライアンス対応コストの上昇分等を販売価格へ十分に転嫁できなければ、店舗の利益は残りません。
利益率を圧迫する主な要因(2025年調査レポート)
- 原材料価格の大幅な上昇:69.38%
- 法令・コンプライアンス対応負担:57.11%
- 賃料・固定費の上昇:45.95%
価格転嫁(値上げ)の実態(2025年以前から営業していた事業者)
- 値上げを実施した事業者:58.91%
- 値上げ幅「5%未満」に留まった事業者: 40.49%
- 値上げ幅「5~10%」の事業者: 16.23%
- 値上げ幅「10%超」の事業者: 2.20%
インフレやコスト高が重なる一方、大幅な値上げには慎重な事業者が多く、コスト上昇と価格設定のバランスが店舗利益率を左右する構造が見えてきます。
ベトナムに飲食店を開業すべきではないのか
これらのデータは、「ベトナムに飲食店を開業すべきではない」ことを意味しているわけではありません。
市場全体が成長する一方で、事業者ごとの売上動向にはばらつきがみられます。つまり、市場の成長機会を個々の店舗が等しく享受できるわけではありません。現地ニーズを捉え、消費者から選ばれる店舗をつくれるかが重要になります。

だからこそ問うべきは、「市場が伸びるか」ではなく「自社が狙う顧客層・価格帯・商圏で、この店舗が選ばれ、採算性はあるか?」です。
「市場規模×想定シェア」というトップダウン思考ではなく、実現可能な客数・客単価・席数・回転率・原価・人件費・賃料等を積み上げる「ボトムアップ型の店舗P/L構築」が不可欠です。
また、ベトナムで飲食店を出店する際には、ライセンス・許認可・食品安全・労務管理・資金計画・税務・会計等、進出時の検討ポイントは多岐にわたります。
これらを漠然とした不安のままにせず、一つずつ具体的な数字と事実に基づいて検証し、出店の可否を判断していくことが重要です。
リスクを正確に評価し、機を逃さず果敢に挑む。
ベトナム進出を「慎重かつ大胆に」成功させるパートナーとして、私たちが貴社の海外事業をサポートします。
ベトナムF&B出店や事業計画の策定について、まずは情報交換からお気軽にお問い合わせください。
データ出典: iPOS.vn & Nestlé Professional
※1「THỊ TRƯỜNG KINH DOANH ẨM THỰC TẠI VIỆT NAM NĂM 2025」(調査対象:事業者3,001社)
※2「THỊ TRƯỜNG KINH DOANH ẨM THỰC TẠI VIỆT NAM 6 THÁNG ĐẦU NĂM 2026」(調査対象:事業者481社)
日本円換算額は1VND=約0.006円として算出した参考値です
本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する専門的な助言を意図したものではありません。本記事の内容に基づいて行われた対応の結果について、当社は責任を負いかねます。実際の手続や意思決定を行う際は、必ず最新の法令をご確認のうえで専門家へご相談ください。