ベトナム進出を検討する前に考えるべきこと 2026 ~ベトナム進出は本当に貴社の経営戦略と合致していますか?~
近年、多くの日系企業がベトナムをはじめとする海外市場へ進出し、海外進出は珍しいものではなくなりました。
しかし、実務の現場では、「とりあえず海外に出たが、思ったように成果が出ない」というケースも少なくありません。例えば、ベトナムは人口増加や経済成長を背景に有望な市場として注目されていますが、実際には、現地法人を設立したものの期待した成果を得られず、事業縮小や撤退を余儀なくされるケースも存在します。
その原因の一つとして、海外進出そのものが目的化してしまうことが挙げられます。
本稿では、海外進出を検討する企業が最初に整理すべきポイントについて解説します。
目次
1. 海外進出の検討は「全社戦略」から始まる
2. 全社戦略を整理する
3. 海外進出戦略を策定する
4. 機能戦略を整備する
5. 実務では完璧な戦略策定は難しい
6. ベトナム進出に成功する企業の共通点
1. 海外進出の検討は「全社戦略」から始まる
海外進出は企業レベルの経営戦略を実現するための手段です。まず確認すべきポイントは以下の2点です。
- 全社戦略の中で海外事業が本当に必要か
- 必要であれば、海外事業を将来的にどのような位置付けにするか
これらを明確にした上で、海外事業戦略(どの国に進出するか、どのように競争するか)や、機能戦略(各部門・機能の具体的運営方針)を検討することが重要です。
適切な戦略のもとで進出を進めれば、海外進出は企業成長を大きく加速させる可能性があります。一方で、戦略が曖昧なまま進出すると、多額の投資や人的リソースを消耗するリスクがあります。
2. 全社戦略を整理する
海外進出は目的ではなく、全社戦略を実現する手段です。最初に整理すべきは以下の点です。
- なぜ海外に進出するのか
- 海外で何を実現したいのか
例えば、
- 新規顧客の開拓や取引先の海外展開への対応
- 生産拠点の確保や生産コストの最適化
- ASEAN市場への展開の足掛かり
など、進出目的を具体化する必要があります。この点の整理が曖昧なまま進出すると、「何のために海外拠点を作ったのか分からない」という状態に陥りやすくなります。
また、海外での拠点設立以外の選択肢を比較検討することも重要となります。例えば、
- 日本からの輸出販売
- 現地代理店や販売パートナーの活用
- OEM生産
など、上記の選択が優位の場合、必ずしも現地拠点設立が最適解とは限らないことがあります。
3. 海外進出戦略を策定する
全社戦略が明確になり、海外進出を進める方針が定まったら、次に海外事業戦略を策定します。海外進出戦略とは、「どの国・市場に、どのような方法で参入し、どのように競争するか」を決定するものです。
ベトナムへの進出戦略を策定する際のポイントは以下の通りです。
ターゲット市場の確認
- 市場の成長性(人口、経済成長率、所得水準など)
- 顧客ニーズと自社商品・サービスとの適合性
- 競合状況や市場の成熟度
市場が成長していることだけでなく、自社の商品・サービスが受け入れられる市場かどうかを確認することが重要です。
参入方法の選択
- 現地法人設立
- M&Aによる既存企業の買収・出資
- 合弁会社(Joint Venture)の設立
ベトナムへの参入時には、外資規制の検討が必要になるケースが多いです。また、近年はスピード重視の観点から、ベトナムM&Aを活用する企業も増加しています。
競争優位の構築
- 価格競争力
- 品質・技術力
- 販売・マーケティング戦略
- サプライチェーンの最適化
など、自社の強みや差別化要素を明確化することが重要です。
リスク管理
- 政治・市場リスク
- 規制・法改正リスク
- 人材・組織運営リスク
についても事前に検討しておく必要があります。
4. 機能戦略を整備する

海外事業戦略とあわせて、機能戦略の策定も必要となります。機能戦略とは、海外進出における各部門・機能の具体的運営方針です。ベトナム進出後、どのように事業を運営するかを以下の観点で策定します。
製造・生産戦略
- 現地生産かサプライヤーからの調達か
- 工場立地の選定・設備投資計画の立案
- 品質管理・工程管理の仕組み
販売・マーケティング戦略
- 営業人材の確保・育成
- 販売チャネルの構築(直販、代理店、パートナー活用)
- プロモーション・ブランド戦略
人事・労務戦略
- 現地管理スタッフの採用・育成
- 日本本社との指示系統の整理
- 労務管理や社内規定類の整備
財務・税務戦略
- 資金調達方法(本社からの増資、親子ローンなど)
- 財務報告・監査体制の整備
- ベトナム会計基準・税務コンプライアンスの遵守
内部統制・コンプライアンス
- 現地法規制の順守・法改正へのキャッチアップ
- 情報セキュリティ管理・個人データ保護法への対応
- 不正防止・内部通報制度の整備
5. 実務では完璧な戦略策定は難しい
理想的には、すべての戦略を整理した上で進出することが望ましいでしょう。しかし実際には、すべてを完全に整理した状態でベトナム進出を実行できる企業は多くありません。
細部が未確定でも、進出の目的や方針の大枠を定めた上で行動を始め、状況に応じて調整しながら進める柔軟性が重要です。
また、進出準備段階、法人設立時、事業拡大フェーズなど、それぞれの局面で求められる専門知識や対応事項は異なります。自社のみで対応することが難しい場合には、現地の専門家や支援機関のサポートを活用しながら進めることも有効な選択肢となるでしょう。
6. ベトナム進出に成功する企業の共通点

ベトナム進出が比較的成功している企業には、以下の共通点があります。
- 進出目的が明確
例:取引先フォロー、ASEAN市場開拓、コスト削減など、目的が具体的に定義されています。 - 日本本社の関与が強い
成功している企業ほど、海外子会社を「任せきり」にせず、日本本社が経営・財務・内部統制などの重要機能を管理しています。 - 長期視点で取り組んでいる
海外事業は短期間で成果が出るものではなく、少なくとも数年は赤字覚悟で事業を育てる必要があります。
ベトナム進出では、法人設立手続きだけでなく、外資規制やライセンス検討や、税務・会計・労務・ガバナンス体制の対応まで含めて検討する必要があります。また、現地法人設立だけでなく、M&Aやパートナー提携など、複数の進出方法を比較検討することも重要です。
当社では、ベトナム進出支援、法人設立支援、会計・税務・労務サポート、M&Aアドバイザリーまでワンストップでご支援しております。
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