【2026年最新】ベトナムの給与計算とは?よくあるミスと正しい計算方法を徹底解説

ベトナムへ進出する日系企業にとって、給与計算は最も注意を要する業務のひとつです。ベトナムの給与計算は、勤怠管理、残業手当、社会保険、個人所得税(PIT)など多数の要素が絡み合い、さらに法令改正も頻繁に行われるため、ミスが発生しやすい領域となっています。
本記事では、ベトナムの給与計算でよくあるミスとその予防策について、2026年1月施行の最新法令を踏まえて解説します。
1. ベトナムの給与計算が複雑な理由
ベトナムの給与計算には、勤怠、残業、各種手当、社会保険料、個人所得税など多数の計算要素が含まれます。データの管理元も人事部・経理部・部門管理者と多岐にわたり、Excelや手作業に依存しているケースも少なくありません。さらに2025年7月の社会保険法改正、2026年1月の個人所得税改正など、頻繁な法令改正への対応が求められます。
給与計算のミスは、従業員の信頼喪失、修正対応による業務量増加、費用計上の誤り、社会保険・税務に関する法的リスクなど、多大な影響を企業に及ぼします。
2. ベトナム給与計算でよくあるミス①:基本給の算定
グロス(額面金額)とネット(手取金額)の混同や昇給後の基本給が反映されていないことは、ベトナムの給与計算で頻発するミスです。基本給を誤って認識すると、給与支給額だけでなく社会保険料や個人所得税の計算にまで影響が波及します。労働契約書に明示された基本給を正確に把握することが、給与計算の第一歩です。
3. ベトナム給与計算でよくあるミス②:残業代の計算
ベトナムでは、残業代の割増率が日や時間帯ごとに細かく定められており、適用する割増率を誤ってしまうことがよくあります。
- 平日:150%
- 休日(会社が定める休日):200%
- 祝日:300%
- 深夜残業(22時~翌6時):平日200%、休日270%、祝日390%
また、残業代の計算基礎となるのは「基本給+職務関連手当」であるにもかかわらず、ガソリン代・通信費・KPIボーナスなどの福利厚生・賞与を残業代の計算基礎に含めてしまう誤りもよく見られます。
4. ベトナム給与計算でよくあるミス③:社会保険・健康保険・失業保険
2025年7月1日以降、報酬を受け取って会社のために働き、会社の管理下にある場合は、労働契約書の締結が法令上明記されました。パートタイマーで月額基準給与(2,340,000 VND)を超える場合や給与を受け取らないベトナム人の社長・取締役なども強制加入の対象となります。
保険料率
- 会社負担:社会保険17.5%、健康保険3%、失業保険1%
- 個人負担:社会保険8%、健康保険1.5%、失業保険1%
2026年1月1日以降の上限額(ホーチミン)
- 社会保険・健康保険:46,800,000 VND
- 失業保険:106,200,000 VND
役職手当・職務手当・勤続手当・危険手当などは保険料の計算対象に含まれます。一方、ガソリン代・通信費・食事代・KPIボーナス・住宅手当などは、就業規則や労働契約書に「福利厚生」として別途規定すれば計算対象外となります。
5. ベトナム給与計算でよくあるミス④:個人所得税(PIT)
2026年1月1日より、ベトナムの個人所得税の累進課税は5段階に簡素化されています。
- 課税所得10m VND以下:5%
- 10m超 30m VND以下:10%
- 30m超 60m VND以下:20%
- 60m超 100m VND以下:30%
- 100m VND超:35%
控除額も改正され、基礎控除は15.5m VND、扶養控除は6.2m VNDとなります。グロス給与とネット給与で計算式が異なるため、労働契約の形態確認が必須です。なお、2026年1月1日より、残業代は個人所得税の対象外となります。
6. ベトナム給与計算でよくあるミス⑤:退職金
退職金は勤務期間12ヶ月以上の労働者が対象です。計算式は「1/2 ×(退職金算定の勤続期間)×(退職金算定の給与)」で、給与は退職前直近6ヶ月の労働契約に基づく平均賃金を用います。勤続期間からは失業保険加入期間を控除します。退職金は非課税で、外国人労働者も労働契約に基づき勤務している場合は支給対象となる可能性があります。
7. ベトナム給与計算でよくあるミス⑥:年次有給休暇
労働者が当該月の所定労働日の50%以上勤務した場合、その月について年次有給休暇が1日付与されます。試用期間も算定対象期間に含まれ、5年ごとに1日が追加されます。未消化年次有給休暇の現金支給額は「直前月の給与 ÷ 直前月の所定労働日数 × 未消化日数」で算定し、2026年度より個人所得税は非課税となります。
8. ベトナム給与計算のミスを防ぐ管理方法
ベトナムの給与計算におけるミスを最小化するためには、次の3点が有効です。
- 各部門間の照合:人事部と経理部で給与・勤怠データを相互チェックする
- チェックリストの活用:法令改正・控除項目・保険料率を毎月確認する
- 給与計算システムの導入:Excel依存を解消し、計算式の誤りや意図しない編集を防ぐ
Excelで運用する場合も、ファイルのロック設定、複数人によるクロスチェック、人事部と経理部の情報共有体制の整備が不可欠です。
まとめ

ベトナムの給与計算は、頻繁な法令改正と複雑な計算要素により、ミスのリスクが高い業務です。2025年から2026年にかけては社会保険法改正や個人所得税改正など重要な変更が相次いだため、最新の法令を踏まえた対応が欠かせません。社内で対応が難しい場合は、ベトナムの給与計算に精通した専門家への外部委託も有効な選択肢です。
ES Consulting Vietnamでは、給与計算をはじめベトナム進出から進出後まで、会計・税務・労務・法務を一貫してサポートしております。ベトナムの給与計算でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する専門的な助言を意図したものではありません。本記事の内容に基づいて行われた対応の結果について、当社は責任を負いかねます。実際の手続や意思決定を行う際は、必ず最新の法令をご確認のうえで専門家へご相談ください。
