【2026年最新版】ベトナムの個人所得税(PIT) ポイント徹底解説

ベトナムに駐在員を派遣する日系企業、また現地で勤務する個人にとって、ベトナムの個人所得税(PIT:Personal Income Tax)は、手取額や赴任コストに直結する最重要テーマです。2026年7月1日には改正個人所得税法(Law No.109/2025/QH15)が施行され、居住者の税率区分・控除額が大幅に見直されます。本記事では、ベトナム個人所得税の最新ポイントと関連する強制保険制度をわかりやすく整理します。

1. ベトナム個人所得税の基本|居住者・非居住者の判定

ベトナム個人所得税では、居住者か非居住者かで課税範囲・税率・申告方法が大きく異なります。次のいずれかに該当する場合、ベトナム居住者として扱われます。

  • 暦年(1月1日~12月31日)でベトナムに183日以上滞在
  • 初回入国日から12か月の間で183日以上滞在
  • 183日以上の住居の賃貸借契約、または恒久的住所(TRC等)を保有

居住者は全世界所得が課税対象となり、累進税率5~35%が適用されます。非居住者はベトナム源泉所得のみが課税対象で、固定税率20%となります。海外口座で受領した給与であっても、ベトナムでの労務対価であればベトナム個人所得税の対象となる点に注意が必要です。

2. 改正個人所得税法(Law No.109/2025/QH15)の主要ポイント

2026年7月1日施行の改正法により、ベトナム個人所得税の課税所得区分が7段階から5段階に簡素化され、居住者は実質的に減税となります。新しい累進税率は以下のとおりです。

  • 月額課税所得 1,000万VND以下:5%
  • 1,000万VND超 3,000万VND以下:10%
  • 3,000万VND超 6,000万VND以下:20%
  • 6,000万VND超 1億VND以下:30%
  • 1億VND超:35%

例えば、月額課税所得1億2,000万VNDのケースでは、改正前の3,215万VNDから改正後は2,750万VNDとなり、月額465万VNDの減税効果があります。給与所得に関する規定は2026年7月1日から、事業所得に関する一部規定は2026年1月1日から適用されるため、適用開始日にも注意が必要です。

3. 非課税所得と所得控除の主要項目

ベトナム個人所得税の課税所得は、「総所得-非課税所得-所得控除」で計算されます。駐在員の手取りに大きく影響する非課税項目は次のとおりです。

  • WP(労働許可証)取得費用:労働契約・社内規程+会社宛VATインボイスがあれば非課税
  • 時間外手当・未使用有給休暇の買い取り:居住者は全額非課税(非居住者は2026年7月から全額非課税)
  • 住宅手当:「(総所得-非課税所得)×15%」と実額の小さい方が非課税
  • 子女教育費(幼稚園~高校)、定期健康診断費、一時帰国費用、食事手当 等

居住者の所得控除としては、基礎控除が月1,550万VND、扶養控除が扶養者1人あたり月額620万VNDとなり、強制保険料(社会保険・健康保険・失業保険)も全額控除可能です。非居住者には所得控除の制度はありません。

4. ベトナムの強制保険制度(社会保険・健康保険・失業保険)

ベトナム個人所得税と並んで、駐在員・現地社員双方の手取り・コストに影響するのが強制保険です。12か月以上の労働契約とWPを有する外国人は、社会保険・健康保険への加入が義務付けられます(社内異動者・出向者は除く)。負担率は次のとおりです。

  • ベトナム人:雇用主21.5%/労働者10.5%(合計32.0%)
  • 外国人:雇用主20.5%/労働者9.5%(合計30.0%、失業保険なし)

算定基礎給与の上限は、社会保険・健康保険は2,340,000VNDの20倍、失業保険は地域最低賃金の20倍です。産休制度は2026年7月以降、第2子以降の出産で7か月に延長されるなど、給付の拡充も進んでいます。

5. ベトナム個人所得税の申告期限と罰則

ベトナム法人から給与を支給される場合は会社が月次(毎月20日)または四半期(4・7・10・1月の月末)でPIT申告を行い、確定申告は翌年3月31日が期限です。海外法人払い給与は個人申告となり、入国初年度・翌年度以降・帰国年度で期限が異なります。納税者番号は原則として雇用開始日から10営業日以内に登録が必要です。

過少申告には不足税額の20%、申告遅延には2百万~25百万VND、脱税認定では脱税額の1~3倍と、ベトナム個人所得税の罰則は重く、延滞利息も日次で発生します。

まとめ|ベトナム個人所得税の改正を踏まえた実務対応

2026年7月1日のベトナム個人所得税法改正は、税率区分の簡素化と居住者の実質減税が大きな柱です。会社側は、給与規程・福利厚生規程を整備し、非課税要件を満たす形で手当を支給することで、駐在員・現地社員の手取り最大化と税務調査対策を同時に実現できます。
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