短期 (2か月半)での人事評価制度改定と人事部スキル向上の両立を伴走型支援
対象会社は直近で東京証券取引所に新規上場した、売上高約20億円・従業員数約200名規模のマーケティング・広告を生業とする企業である。
同社は既存事業の維持・安定化を図りつつサービス多面化や規模拡大を実現するためM&Aによる買収・子会社化を進めていたが、一方で人事制度が自社内、及びグループ会社間で実態とマッチしない状況が発生していた。
最も大きな課題は、評価基準の曖昧さや現場認識との乖離等に起因し、公正でなく成果に十分に報いられていないことであった。
また、付随する課題として、規模拡大に伴い従業員の能力・職種の幅が広がる中で既存の等級制度(人材の格付け基準)とのミスマッチが発生していること、給与体系が基本給のみで賞与が無いために人件費が固定化し、企業の業績を従業員に還元しきれていないことが挙げられていた。
そうした中で、人事評価制度の全面改定を短期(2か月半)で行った上で従業員説明会実施まで完了するという、スピーディーなプロジェクト推進が求められた。加えて、可能であれば等級制度と報酬制度の部分的改定も行いたいという付随的なニーズも存在していた。
また、人事制度面での課題に加え、当時の人事部メンバーの制度企画・運用経験が必ずしも豊富でないことから、人事制度改定プロジェクトを通じて、メンバーの能力・スキル向上も併せて実現することがサブテーマとなっていた。
私たちが提供したValue
- 「軸」を固め「クイック」に進めることによる短期での人事評価制度改定、実現
企業風土・戦略との連動、及びプロジェクト内で共通認識を図ることを目的に、人材活用方針(ポリシー)や求める人材像といった「軸」をはじめに議論・決定。その上で評価制度について、①クイックに全体像を描くこと、②クライアント・弊社間での闊達な議論を行いながら内容を徐々にブラッシュアップしていくことを繰り返す「クイック」な進め方を実行。結果として2か月半という短期でのプロジェクトゴールの達成を実現した - 人事部メンバーのスキル等向上・自走化を見据えた伴走
制度設計や従業員説明準備において、敢えて全てを弊社が主導するのではなく、一部対応事項についてクライアント人事部メンバーを巻き込む、設計における討議でCXOやクライアント責任者だけでなくメンバーも発言しやすい方向整理や雰囲気づくり、定例MTG以外でもチャットツール上での議論や質問解消を重ねる等の取り組みにより、クライアント人事部メンバーの能力・スキル向上につなげ、制度導入後の自走化に繋げた
具体的な支援内容
評価制度の再構築を中心に、以下の領域について支援を実施いたしました。
人材活用方針(ポリシー)、求める人物像の言語化
・経営計画や採用情報をたたき台とした人材活用方針(ポリシー)、求める人物像についてCXO及び人事部メンバーと議論を重ねて言語化。人事制度の拠り所となる「軸」を決定
評価制度の再構築
・「軸」を踏まえ、以下①②③を特色とした評価制度を再構築
- 目標管理制度による定量目標への意識付け強化
旧制度で運用されていた「個人目標の達成度」による評価はフリーフォーマットで目標設定方法の指針がなく、評価者間・部門間の評価格差や、主観による妥当性に乏しい評価調整の発生等の問題が生じていた。そこで、評価の客観性・公平性を高めるため、「定量」目標のみを基準とする目標管理制度を整備した。
※デザイン等の定量のみでの評価が難しい一部職種のみ「定性」も目標の一部に組み込むことを許容するが、上位等級になるほど「定量」のウェイトを増やす設計とし、成果に報いる制度として整理 - バリュー要素の評価への組み込み
グループ全体で価値観の浸透も図るため、コンピテンシーだけでなくバリュー要素を評価に組み込み。自己評価と他者評価に大きなずれが生じてしまうことや、単なる印象評価に陥ってしまうことを防止するため、体現度合と周囲への影響を評価の軸として定めるとともに等級に応じて発揮してほしいバリューの度合いに応じウェイトを設定 - 360度評価の導入
評価の妥当性検証のため、自己評価・上長評価だけでなく、同僚等による評価(360度評価)を実施
※あくまで評価の参考材料という位置づけで実施
等級制度、報酬制度の一部改定
・等級段階数の細分化や上位等級における複線型キャリアパス(チームや組織を率い成果を最大化するマネジメントと、専門性の追求・貢献により成果を最大化するエキスパート)を導入し、従業員の能力レベルや専門性の多様化、キャリアパス見える化に着手
・会社業績、個人目標達成度を踏まえた成果への還元を実現するために、グループ全体での業績を踏まえて賞与原資を決定したうえで、事業部業績及び個人目標達成度に応じて賞与額を決定していく新賞与制度を整備。簡易的なシミュレーションによる検証も実施