フィリピンの人材採用を徹底解説!採用の流れや課題、よくあるトラブルを紹介

フィリピンは若年人口が多く、英語力の高い人材が豊富なことから、フィリピン進出後の組織づくりでは、現地での人材採用を中心に考えている企業も多いのではないでしょうか。

フィリピン現地で人材採用を行う際には、文化や価値観の違い、労働市場動向についても、事前に理解しておくことが大切です。 

この記事では、フィリピンで現地人材を採用するメリット・デメリット、具体的な採用方法、成功するためのポイントについて解説します。


フィリピンの人材採用のメリット

まずは、フィリピン進出後に現地で人材採用を行うメリットを紹介します。


英語力・対人スキルの高さ

フィリピンでは、英語が公用語の一つとされているため、ビジネスシーンでは英語でのやり取りが自然に行われています。 
ビジネスレベルでの対応が可能な英語力を身につけている人材が多く、顧客対応や業務指示も英語ベースで行えるのが大きなメリットです。 

さらに、フィリピン人はフレンドリーで表現力が豊かな傾向があり、電話やオンラインでのコミュニケーションにも強みがあります。 JETROの調査でも、現地に進出する日系企業の多くが「言語・コミュニケーション上の障害の少なさ」を評価しており、海外展開における安心材料になるでしょう。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピンの投資環境(1)製造業、「豊富な人材」に強み」外務省「フィリピン基礎データ

ホスピタリティ精神

フィリピンはコールセンターを中心としたBPO産業が成長しており、顧客対応やサポート業務に強い人材が豊富です。 
丁寧で相手に寄り添うコミュニケーションを得意とする人が多く、クレーム対応や問い合わせ対応などでも高い評価を受けています。 

また、フィリピンには「バヤニハン」と呼ばれる助け合いの文化が根付いており、チームワークを重視する傾向が強い点も特徴です。 
職場内で協力しながら業務を進める姿勢が自然と備わっているため、組織としての一体感を築きやすく、離職防止にもつながります。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピンIT-BPM産業の強みとAI活用例

若年層の労働力が豊富

フィリピンは人口構成が若く、労働市場においても将来性の高い国とされています。 
2020年時点のフィリピンの平均年齢は25.3歳と、ASEAN諸国の中でも若い水準です。
 特に、0~14歳未満の人口比率が30%と高く、生産年齢人口(15~64歳)も2023年時点で全体の6割以上を占めているのが特徴です。 

また、JICAの国別分析ペーパーで、フィリピンは主要ASEAN各国の中でも最も遅くまで人口ボーナス期を享受すると予想されており、この傾向は2050年ごろまで続くと言われています。 
中長期的に見ても若い労働力を確保しやすいのは、フィリピンの人材市場の大きな魅力といえるでしょう。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピンの投資環境(2)旺盛な消費市場、日本製品にもチャンス」独立行政法人国際協力機構「フィリピン共和国 JICA 国別分析ペーパー

IT・バックオフィス人材の育成が進んでいる

フィリピンは、世界有数のIT-BPM拠点として発展しており、ITエンジニアやバックオフィス業務に対応できる人材の育成が進んでいます。 
データ入力や経理、人事、カスタマーサポートといった業務だけでなく、近年ではIT開発やデジタルマーケティングなど高度な分野にも対応できる人材が増えているのが特徴です。 

業務のアウトソーシングやDX推進を進めたい企業にとっては、コストを抑えながら専門性の高い人材を確保できる点もメリットといえるでしょう。
 時差が少なく日本との連携が取りやすいこともあり、オフショア拠点として活用する企業も増えています。

参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピンIT-BPM産業の強みとAI活用例

フィリピン人材採用のデメリット

フィリピンは人材確保の面で魅力が多い一方、近年は経済成長や外資企業の進出を背景に採用環境が大きく変化しています。
 かつての「人材が豊富で採用しやすい市場」というイメージだけで進めると、想定以上に採用が難航するケースも少なくありません。 

現地採用を成功させるためには、市場環境の変化を踏まえたうえで、採用条件や手法を柔軟に見直すことが重要です。

 ここでは、フィリピンで人材採用を行う際に押さえておきたい主なデメリットを紹介します。

失業率の低下(売り手市場)


出典:IMF「Unemployment rate

フィリピンの失業率は1980年以降で最低水準を記録しており、労働市場は売り手に有利な状況となっています。
 特に都市部では、有能な人材の確保が困難になっており、企業側の採用力がこれまで以上に問われています。

外資系企業の進出増加

近年は、フィリピンに進出する外資系企業が増加している点にも注意が必要です。 欧米、中国、韓国、台湾など各国の企業が現地の人材市場に参入しており、採用競争は一段と激しくなっています。 

特に欧米企業は、他国企業と比べて給与や福利厚生の面で高待遇を提示する傾向があります。
 優秀な人材を獲得するためには、市場環境に即した採用条件や待遇面の見直しを行う必要があるでしょう。 

【フィリピンに進出しているBPO企業の例】 


出典:PENBROTHERS「Top Foreign Companies Successfully Outsourcing to the Philippines (And What You Can Learn From Their Strategies)


給与水準の上昇


出典:Philippine Statistics Authority「Occupational Wages Survey

 近年のフィリピンでは、経済成長や外資系企業の進出拡大を背景に、給与水準の上昇傾向が続いています。 
平均月収はおよそ20,000〜30,000ペソ(約52,000〜79,000円)、フィリピン統計庁が公表した2024年のフルタイム労働者の平均月額賃金も21,544ペソ(約56,000円)でした。 

また、JETROの調査によると、フィリピンにおける製造業作業員の月額基本給は、2013年に平均248ドル(約39,500円)だったものの、2023年には271ドル(約43,000円)まで上昇しています。 
日本における平均給与と比較するとまだまだ低水準なものの、現地で採用活動を行う際には、最新の市場動向を踏まえた条件を設定することが大切です。

参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「アジアの製造業の給与水準、10年で大幅上昇も都市間の差は拡大

フィリピン人材採用の課題

フィリピンでの人材採用には、現地ならではのメリットがある一方、注意すべき課題が複数存在するのも事実です。
 特に近年は、外資企業の増加や労働市場の変化により、従来のやり方では人材確保や定着が難しくなってきています。 
事前に課題を把握し、適切な対策を講じることが、採用成功を左右するでしょう。

 ここからは、フィリピンでの現地採用において、日系企業が抱えやすい課題を5つ紹介します。

求人を出しても応募が集まらない

フィリピンでは、求人サイトやSNS、大学ネットワークなど採用チャネルが多様化しており、日本と同じ感覚で求人を出しても応募が集まりにくい可能性があります。 

特に、給与レンジや勤務地、勤務形態などは、応募数に直接的な影響を与える重要な要素です。 
また、若手人材はワークライフバランスや柔軟な働き方を重視する傾向があり、条件が合わなければ応募自体を避けることもあります。
 企業の知名度や口コミ評価も重視されるため、採用ブランディングの強化も疎かにはできません。 

フィリピン現地の主な採用チャネルは、以下の通りです。

・JobStreet
・Indeed 
・LinkedIn 
・Kalibrr 
・Facebook求人  

応募を集めるためには、現地の求職者が実際に利用している媒体を把握したうえで、自社の採用ターゲットに合った採用方法を選ぶ必要があります。

人材紹介会社を使ってもミスマッチが起きる

現地の人材紹介会社を利用して採用活動を行っても、求める人材像と実際の採用人材の間にギャップが生じるケースも少なくありません。 

理由としては、以下のようなことが考えられます。 

・Job Descriptionが曖昧 
・日本特有の人物像を前提にしている 
・スキルや経験の評価基準が異なる 

ミスマッチが起こると、早期退職のリスクが高まるだけでなく、業務パフォーマンスの低下を招く懸念もあります。

 未然に防ぐためには、職務内容を明確に定義したJob Descriptionを基に採用や評価を行うのが有効です。
 採用前に職務内容や責任範囲、求めるスキルなどを明確にすることで、採用後のミスマッチを防ぐことにつながります。

給与を上げても人材が定着しない

転職市場が活発なフィリピンでは、職場の雰囲気や待遇面で不満があると、短期間で離職してしまう人材も少なくありません。 
また、給与水準だけで人材の定着を図ることは難しい場合もあります。
特にBPOやIT業界では求人が豊富で労働者側の選択肢が多いため、企業側は「この会社で働き続ける理由」を提供する必要があるでしょう。 

フィリピンで人材定着率を高めるためには、以下のような取り組みが重要です。 

・キャリアアップの機会を提示する 
・働きやすい職場環境を整備する 
・評価制度やフィードバック体制を明確にする 

上司との関係性やチームの雰囲気も離職理由に大きく影響します。 
マネジメント層への研修や1on1ミーティングの導入など、日常的なコミュニケーションの質を高める取り組みも有効です。

評価制度やキャリアパスが整っていない

評価基準や昇進ルールが不明確な場合、従業員のモチベーション低下や離職の原因となります。 
特にフィリピンでは、成果やスキルに基づいた評価を重視する傾向が強く、曖昧な評価は不満につながりやすい点に注意が必要です。 

「何を達成すれば昇給・昇進できるのか」「どのスキルを伸ばせばキャリアアップできるのか」を明確に示すことで、従業員は自身の目標を具体的に設定できます。 
加えて、定期的な評価面談やフィードバックを行うことが重要です。

 透明性の高い評価制度は、優秀な人材の定着だけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

労働法(Labor Code)や解雇規制への対応が難しい

フィリピンの労働法は労働者保護の色合いが強く、雇用契約や解雇に関するルールが厳格に定められています。 
正当な理由や適切な手続きを経ずに解雇を行った場合、不当解雇として訴えられるリスクがあるため、注意しましょう。 

また、法令遵守の観点では、以下の社会保険制度への対応も必須です。 

・SSS(社会保障制度)
・PhilHealth(公的医療保険)
・Pag-IBIG(住宅関連基金) 

これらは企業と従業員双方に加入義務があり、未対応の場合は罰則や信用低下につながる可能性があります。 

試用期間の取り扱いや契約更新のルール、残業代の支払い基準なども日本と異なるため、現地の専門家と連携しながら制度設計を行うことが重要です。

フィリピンで人材を採用する主な方法

フィリピンでは、インターネットやSNSの普及により採用チャネルが多様化しており、日本とは異なるアプローチが求められます。 
特にスマートフォン経由での情報収集が一般的であるため、オンラインを中心とした採用活動が主流です。

 また、知人からの紹介やコミュニティを通じたつながりも重視される傾向があります。 
採用したい人材の職種やスキルレベルに応じてチャネルを使い分けることで、応募数やマッチ度を大きく改善できるでしょう。 

ここでは、フィリピンでよく活用される代表的な採用手法を4つ紹介します。


リファラル採用

リファラル採用は、既存社員や取引先、知人からの紹介によって候補者を確保する方法です。 
フィリピンでは人とのつながりを重視する文化があるため、信頼できる人からの紹介は応募のハードルを下げやすく、採用後の定着率も高くなる傾向があります。

 一方で、紹介者のネットワークに依存するため、採用人数が限られることや、同質的な人材に偏る可能性もあります。 
紹介制度を整備する場合は、インセンティブ設計や紹介フローを明確にし、継続的に活用できる仕組みを構築することが重要です。

SNSでの募集

FacebookやLinkedInを中心に、SNSを活用して求人情報を発信する手法です。 
フィリピンではFacebookの利用率が非常に高く、企業ページや求人グループへの投稿を通じて、転職潜在層にも広くアプローチできます。 
特に若年層やIT人材はSNS経由で情報収集を行うケースが多く、スピーディーに応募を集めやすいのが特徴です。 

また、企業の雰囲気や働く環境を発信することで、採用ブランディングにもつながります。 

ただし、応募数が増えやすい反面、スキルや志向がばらつく傾向があるため、スクリーニングの仕組みをあらかじめ整えておく必要があります。

求人サイトでの募集

JobStreetやKalibrr、Indeedなどの求人サイトを活用する方法は、フィリピンにおいても一般的な採用手法です。

 特にJobStreetは幅広い職種で利用されており、経験者から若手まで多くの求職者にリーチできます。
 KalibrrはIT人材や若手層に強みがあり、スキルベースでのマッチングがしやすい点が特徴です。 

求人サイトの活用は、短期間で一定数の応募を確保できる一方、掲載費用が発生する場合があります。 また、応募数が増えるほど選考工数も増加するため、応募条件の明確化やスクリーニング基準の設定が重要です。

人材紹介・採用代行の活用

専門職や管理職、即戦力人材の採用には、人材紹介会社や採用代行(RPO)の活用が有効です。 
候補者のスクリーニングや面接調整、オファー交渉までを一括して支援してくれるため、社内リソースを抑えながら効率的に採用活動を進められます。 

現地市場に精通したエージェントを活用すれば、実績のある優秀な層へのアプローチも可能になるでしょう。

フィリピン人材採用の流れ

フィリピンで現地人材を採用する際は、日本と同様に「募集→選考→内定→入社」という基本フローで進めます。 
一方で、採用スピードや情報の伝え方、法制度への対応など、運用面での違いには注意が必要です。 

ここでは、フィリピンで現地人材を採用する基本的な流れを紹介します。

募集要項の決定

募集要項は、フィリピンでの人材採用において最も重要な工程です。 
業務内容だけでなく、採用の背景や期待役割、入社後の成果イメージまで具体的に言語化することが求められます。 

単にタスクを列挙するのではなく、「どのような課題を解決するポジションなのか」「どのように評価されるのか」を明確に示すことを意識しましょう。 
求めるスキル・経験・勤務条件・キャリアパスなども具体的に提示することが重要です。 

人材紹介会社を利用する場合も、Job Descriptionが判断基準となります。
 給与レンジ、福利厚生、在宅勤務の可否、キャリアアップの機会など、候補者が重視する情報を分かりやすく整理し、企業のビジョンや職場環境とあわせて記載しましょう。 

【質問票の例】 


【組織図の確認】 


同じ職種名でも、組織体制によって役割や責任範囲は大きく異なります。 
レポートラインやチーム構成、権限範囲を事前に整理し、採用要件と整合させておくことが重要です。

書類選考・面接

書類選考では、職務経験やスキルに加えて、転職回数やキャリアの一貫性も確認します。 
フィリピンでは転職が一般的なため、短期間での離職理由を丁寧にヒアリングすることが重要です。 

面接では、スキル評価と同時にカルチャーフィットを見極めましょう。 
英語でのコミュニケーション力や対人対応力は、実際の業務を想定した質問やロールプレイ形式で確認すると効果的です。 
必要に応じて専門テストやケーススタディを実施することで、実務適性をより正確に判断できます。 

また、人事だけでなく、現場責任者や関連部門も選考に関与することで、より多角的な評価ができるでしょう。

 ただし、選考プロセスは長くなりすぎないよう注意が必要です。 一般的には2〜3回程度に抑え、迅速に結果を伝えることで、候補者の離脱を防げます。

内定・オファー提示

採用を決定したら、速やかに内定を出し、オファー提示へ進みます。 
フィリピンでは複数内定を比較する候補者が多いため、タイミングの遅れは致命的になりかねません。

 最終面接後は間を空けずに内定の意思を伝え、オファーレターの発行までの流れをスムーズに進めることが重要です。
オファーレターには、給与、手当、勤務地、勤務時間、試用期間、福利厚生などを明確に記載します。

また、対面またはオンラインでのオファー面談を実施するのも有効です。 企業の魅力を直接伝えることができ、承諾率の向上につながるでしょう。

雇用契約・入社手続き

オファー承諾後は、雇用契約の締結と入社準備に進みます。 
フィリピンでは労働法に基づいた契約管理が求められるため、契約内容は明確かつ具体的に定義する必要があります。 

主に整理すべき項目は以下のとおりです。 

・契約形態 
・試用期間 
・給与および支給方法 
・勤務地・勤務時間 
・各種手当・福利厚生 

また、雇用主にはSSS(社会保障制度)、PhilHealth(公的医療保険)、Pag-IBIG(住宅基金)への加入手続きも義務付けられています。

 入社時には、業務内容や評価基準、レポートライン、就業規則を明確に説明し、早期に職場へ適応できるよう支援しましょう。

フィリピンで人材採用する際のポイント

フィリピンでの人材採用を成功させるためには、日本とは異なる労働市場の特性や価値観を理解したうえで対応することが重要です。 

ここからは、特に押さえておきたい4つのポイントについて解説します。

給与水準・福利厚生の設定

フィリピンでは、外資系企業やBPO企業の増加により、給与水準や福利厚生の競争が激化しています。 優秀な人材ほど複数の企業を比較検討するため、相場を踏まえた報酬設計が重要です。 

また、フィリピン特有の制度として「13th month pay(13ヶ月目給与)」の支払いが法律で義務付けられており、これは年収の一部として認識されています。 
候補者はこの金額を含めて待遇を比較するため、提示時には分かりやすい説明を意識しましょう。 

さらに、医療保険、交通費、食事手当、在宅勤務制度などの福利厚生も重要な判断材料となります。 
近年は、ハイブリッド勤務や柔軟な働き方を求める声が増えているため、給与だけでなく総合的な待遇で競争力を持たせることが採用成功の鍵となります。

文化・価値観の違いへの理解

フィリピンでは家族を重視する価値観が強く、仕事とプライベートのバランスを大切にする傾向があります。 
家族行事や宗教イベントを理由とした休暇取得も一般的であり、制限しすぎると不満につながる可能性があります。 
また、カトリック文化の影響により祝日や行事についても、年間スケジュールの設計時には注意が必要です。 

さらに、コミュニケーション面では「察する文化」が通用しにくく、指示や期待値を明確に伝えることが求められます。 
業務範囲や責任、成果基準を具体的に示し、誤解やトラブルを防ぎましょう。

離職率を抑えるマネジメント

フィリピンは転職市場が比較的活発で、優秀な人材ほど、より良い条件や成長機会を求めて転職する傾向があります。 
そのため、採用時の条件だけでなく、長期的に働き続けてもらうための仕組みを整えることが重要です。

具体的には、明確なキャリアパスを示したうえで、定期的に評価・フィードバックを行いましょう。 
教育・研修制度を整備することで、従業員の成長実感や納得感につながります。 

また、上司との関係性や職場環境も定着率に大きく影響するポイントです。 
福利厚生を充実させるだけでなく、日常的なコミュニケーションや社内イベントなどを通じて信頼関係を築き、風通しが良く、働きやすい職場環境を整えることを意識しましょう。

英語でのコミュニケーション体制

フィリピンでは英語がビジネスの共通言語として広く使われており、社内外のコミュニケーションも英語を前提に設計する必要があります。
 業務マニュアルや評価制度、社内規程などは英語で整備し、誰でも理解できる状態にしておくことが重要です。 

また、管理者側にも、英語での説明力やマネジメント力が求められます。 
単に英語を話せるだけでなく、相手の文化や価値観を踏まえた伝え方ができるかがポイントになるでしょう。

フィリピン人材採用に関するよくある疑問

続いては、フィリピンでの人材採用に関する、よくある疑問にお答えします。

採用コストはどれくらいかかる?

採用コストは、利用するチャネルや採用する人材のレベルによって大きく異なります。 
一般的に、リファラル採用やSNSを活用した方法はコストを抑えやすく、求人サイトは中程度、人材紹介や採用代行は比較的高額になる傾向があります。 

【採用手法別のコスト目安】 

採用手法コスト目安
リファラル採用
  • 低い
  • 紹介インセンティブが中心で、外部媒体への掲載費用等は不要
SNS
  • 低い
  • 自社アカウントがあれば無料で投稿できるケースも
求人サイト
  • 中程度
  • 掲載費は1ヶ月・1求人単位で定められていることが多い
人材紹介・採用代行
  • 高い
  • 手数料は成功報酬型で、理論年収の20〜35%程度が目安

フィリピンの総合的な採用コストは、日本の3分の1~2分の1程度に収まるケースが多いとされています。 

ただし、IT人材やマネジメント層など競争の激しい領域では、コストが想定以上に高くなることもあるため、採用ターゲットに応じた予算設計が重要です。

最低賃金や給与相場は?

フィリピンの給与水準は、地域や職種によって異なりますが、一般的な平均月収は20,000〜30,000ペソ(約52,000〜79,000円)が目安です。 

最低賃金は全国一律ではなく、地域ごとに設定されており、マニラ首都圏では2025年時点で以下の水準となっています。 

対象部門最低賃金(1日当たり)
非農業部門645 ペソ(約 1,800 円)
農業部門
従業員 15 人以下のサービス業・小売業
従業員 10 人未満の製造業
608 ペソ(約 1,700 円)

 なお、首都圏マニラでは最低賃金が日額600ペソ台となっている一方、地方では日額300〜400ペソ台の地域も少なくありません。 

【職種別の給与相場】 

職種給与相場
BPO 産業(コールセンターなど)月 18,000〜30,000 ペソ
IT 産業(エンジニアなど)月 20,000〜35,000 ペソ
事務職員(バックオフィス部門)月 20,000〜35,000 ペソ

ただし、外資系企業や専門職の場合はこの相場を大きく上回ることも珍しくありません。優秀な人材ほど条件交渉力が高いため、ターゲット人材に応じて柔軟に報酬を設計することが重要です。 

参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「マニラ首都圏の最低賃金、7月から日額50ペソ引き上げ(フィリピン)

外国企業でも採用できる?

外国企業でも、フィリピンで現地人材を採用することは可能です。
 ただし、直接雇用を行う場合は、現地法人の設立や各種登録手続きが必要となります。 

具体的には、税務当局(BIR)への登録や、社会保険制度(SSS、PhilHealth、Pag-IBIG)への加入など、複数の手続きを行わなければなりません。 

これらの手続きには時間とコストがかかるため、すぐに採用を開始したい場合にはハードルとなることがあります。 

このような場合に有効なのが、雇用代行(EOR)の活用です。 EORを利用すれば、現地法人を設立せずに人材を雇用でき、給与支払いや社会保険手続きも代行してもらえるため、スピーディーに事業を立ち上げることが可能です。

リモート採用は可能?

フィリピンではオンライン面接を活用したリモート採用が一般的に普及しており、日本からでも問題なく採用活動を進めることができます。 
特に一次面接や書類選考後のスクリーニングはオンラインで実施する企業が多く、移動コストや時間を削減できる点がメリットです。 

また、面接を録画して社内で共有できるため、複数の関係者で候補者を評価しやすいというメリットもあります。 
ただし、オンラインのみの場合、候補者の人柄や細かなコミュニケーションスタイルを把握しにくい点には注意が必要です。

フィリピンの人事労務課題はエスネットワークスにご相談ください

フィリピンで人材採用を進める際には、採用活動だけでなく、その後の人事制度や労務管理体制まで見据えた設計が欠かせません。
特に近年は採用競争の激化により、給与や福利厚生の設定、評価制度の整備などが採用成功と定着率に直結する重要な要素となっています。 

また、労働法や社会保険制度(SSS・PhilHealth・Pag-IBIGなど)への対応を誤ると、罰則や労務トラブルにつながるリスクもあるため、現地特有の制度や実務を正しく理解することが大切です。 

エスネットワークスでは、法人設立から給与計算、社会保険対応、人事制度設計、採用支援までを一貫してサポートし、安定した組織運営の実現を支援しています。 
ぜひお気軽にご相談ください。

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本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する専門的な助言を意図したものではありません。本記事の内容に基づいて行われた対応の結果について、当社は責任を負いかねます。実際の手続や意思決定を行う際は、必ず最新の法令をご確認のうえで専門家へご相談ください。