フィリピン進出を成功させよう!メリット・デメリットや市場動向を解説


フィリピンは、東南アジアの中でも高い経済成長率を維持しており、海外進出先として注目を集めています。若く豊富な労働力や英語が通じやすいビジネス環境を背景に、製造業からIT、サービス業まで幅広い分野で外資系企業の進出が進んでいます。
一方で、法制度や商習慣の違い、インフラ面の課題など、事前に理解しておくべき注意点も少なくありません。

この記事では、フィリピン進出のメリット・デメリットを整理するとともに、最新の市場動向や成功のポイントについて分かりやすく解説します。

フィリピンの経済成長率と市場動向


フィリピンは近年、安定した経済成長を続けており、2025年も高い成長率を維持しています。2025年第1四半期のGDP成長率は前年同期比5.4%※1、第2四半期は5.5%※2と堅調に推移し、第3四半期は4.0%※3とやや減速したものの、通年ではおおむね5%前後の成長が見込まれています。

この成長を支えている要因の一つが、人口増加と若年層の多さです。
フィリピンの人口は2015年の約1億500万人から2023年には約1億1,500万人へ増加し、2060年には約1億4,000万人に達すると予測されています。

中位年齢は25.3歳とASEAN諸国の中でも若く、0~14歳が人口の約30%を占めるなど、2050年ごろまで人口ボーナス期が続く見通しです。※4

フィリピンの人口は2015年が1億人500万人だったが、2023年は1億1,400万人に増えた 。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「旺盛な消費市場、日本製品にもチャンスフィリピンの投資環境(2)

産業構造を見ると、エレクトロニクス産業を中心に輸出入が拡大しており、日系企業も製造拠点として長年進出を続けてきました。

近年は内需向け製造や自動車市場の成長も顕著で、外需と内需の双方を狙える点が特徴です。※5
また、アニメや音楽など、クリエイティブ産業の活性化にも力を入れています。※6
加えて、政府は投資優遇制度を通じた外資誘致を進めており、成長市場への早期参入を検討する企業にとって、有望な進出先の一つといえるでしょう。

外資系企業がフィリピンに進出するメリット

フィリピンは、安定した経済成長と人口増加を背景に、多くの外資系企業が注目する進出先です。
製造業をはじめ、IT・BPO、サービス業など幅広い分野で事業機会が広がっており、アジア・欧米を含む多国籍企業の進出が進んでいます。

ここでは、外資系企業がフィリピンに進出する主なメリットについて解説します。

英語力の高い人材が多い

フィリピンは英語を公用語の一つとしており、ビジネスレベルの英語を使いこなせる人材が豊富です。

EF(Education Firs)が発表する「EF English Proficiency Index(EF EPI)」において、フィリピンはグローバル・ランキング28位に位置しており、EF EPIスコアは569と、全世界平均スコア488を大きく上回る水準を記録しています。

社内コミュニケーションや海外拠点との連携、グローバル顧客対応が英語で完結しやすい点は、フィリピン進出企業にとって大きなメリットといえます。特に、IT・BPO、カスタマーサポート分野では、英語力とホスピタリティを兼ね備えた人材が多く、欧米企業からも高い評価を受けています。

本社や他国拠点とのやり取りも英語でスムーズにできるため、多国籍な事業展開を視野に入れる企業にとって適した環境です。

若く豊富な労働力を確保しやすい

フィリピンの中位年齢は25.3歳と若く、ASEAN諸国の中でも若年層の比率が高い国です。※4

生産年齢人口の増加が続いており、今後も労働力を安定的に確保できる見通しがあります。
若い人材が多いことで、新しい技術や業務への適応力が高く、教育や研修を通じて中長期的に人材を育成しやすい点も魅力です。

人件費を抑えながら事業展開ができる

フィリピンの最低賃金は、非農業部門で1日当たり695ペソ(約1,800円)です。※7

人件費を低く抑えられるため、特に製造業やITオフショア開発などでは、品質を維持しながらコストを抑えられる点が評価されています。
ただし、最低賃金の引き上げや人材獲得競争の激化も進んでいるため、単純な低コスト目的ではなく、生産性向上や付加価値創出を意識した人材活用が重要になります。

親しみやすい国民性でビジネス関係を築きやすい

フィリピンは、企業や国籍を問わず、親しみやすい国民性が特徴です。

海外企業での就労経験を前向きに評価する風土があり、対人関係を重視する文化が根付いているため、信頼関係を築くことで長期的なパートナーシップを構築しやすい点も、進出企業にとってメリットです。

外資への優遇制度

フィリピンでは、外資誘致を目的とした優遇制度が整備されており、進出企業にとって大きな魅力となっています。

代表的なものが、フィリピン経済区庁(PEZA)を中心とした経済特区制度です。
PEZA登録企業は、所得税の軽減や免税措置、輸入関税免除などの恩恵を受けられます。※8
また、近年はCREATE MORE法の施行により、税制優遇の透明性向上や長期的な投資環境の安定化も進められています。※9

制度の理解と適切な活用ができれば、初期コストや税負担を抑えながら事業を立ち上げることが可能です。

ASEAN市場への足がかりになる

フィリピンは地理的にASEANの中心に位置しており、周辺国へのアクセスがしやすい点も進出メリットの一つです。英語を共通言語として、ASEAN各国や欧米市場と連携しやすく、地域拠点としての活用も期待されています。
また、内需市場の拡大に加え、輸出型ビジネスと内需型ビジネスの両立が可能な点は、フィリピン進出ならではの特徴といえるでしょう。

日系企業・外資系企業がフィリピンに進出するデメリットやリスク

フィリピンは高い経済成長率や若年人口の多さといった魅力を持つ一方で、進出にあたっては特有のデメリットやリスクも存在します。法制度や商習慣への理解が不十分なまま進出すると、想定外のコストや事業停滞につながる可能性があります。

ここでは、日系企業・外資系企業がフィリピン進出を検討する際に注意すべき主なリスクについて解説します。

外資規制の影響を受けやすい

フィリピンでは、外資の参入が制限されている業種が存在します。
小売業、公共事業、広告業、不動産関連などは、外資出資比率に上限が設けられており、原則として100%外資での参入ができないケースがあります。※9

近年は規制緩和が進みつつあるものの、業種や事業内容によって適用範囲が異なるため、事前の確認が不可欠です。
また、法律そのものだけでなく、行政手続きの解釈や運用が地域や担当者によって異なることもあり、現地専門家やコンサルタントと連携しながら進める体制づくりが重要になります。

土地を所有することはできない

フィリピンでは、原則として外国企業や外国人が土地を所有することは認められていません。※10
そのため、工場やオフィスを構える場合は、長期リース契約を結ぶ形が一般的です。リース期間や契約条件によっては、将来的な事業拡張や撤退時に制約が生じる可能性もあります。土地や建物の権利関係が複雑なケースもあるため、トラブルに発展しないよう、契約内容の精査や法的チェックが重要になるでしょう。

不動産を活用した事業を行う場合は、特に慎重な対応が求められます。

インフラ整備の遅れによる業務効率の低下

フィリピンでは、都市部を中心にインフラ整備が進んでいるものの、日本と比較すると依然として課題が残ります。
慢性的な交通渋滞や物流の遅延、地域によっては電力供給や通信環境が不安定なことも珍しくありません。
これらの要因は、生産スケジュールの遅れや業務効率の低下につながる可能性があります。
特に製造業や物流を伴う事業では、立地選定やサプライチェーン構築の段階で、インフラ状況を十分に考慮する必要があります。

人材の定着率が低く離職リスクがある

フィリピンでは、転職に対する心理的ハードルが比較的低く、より良い条件を求めて人材が流動的に移動する傾向があります。
そのため、採用後の人材定着が進まない場合、教育コストの増加やノウハウの蓄積が難しくなるリスクがあるでしょう。
給与や福利厚生だけでなく、キャリアパスの提示や評価制度、職場環境の改善など、中長期的な人材マネジメントや現地の価値観や労働慣行を理解した運用が求められます。

フィリピン進出を成功させるポイント


フィリピンは、人口増加や内需拡大といった魅力がある一方で、進出後に課題へ直面する企業も少なくありません。フィリピン進出を成功させるためには、市場の成長性だけに注目するのではなく、法制度や商習慣を踏まえた準備が必要です。

ここでは、外資系企業がフィリピン進出を成功させるために押さえておきたい重要なポイントを解説します。

進出目的と事業戦略を明確にする

フィリピン進出を検討する際は、まず進出目的を明確にすることが重要です。

製造拠点としてのコスト削減を狙うのか、成長する内需市場への参入を目的とするのか、ASEAN市場全体への拠点づくりなのかによって、最適な進出形態や立地、組織体制は大きく異なります。目的が曖昧なまま進出すると、想定していた成果が得られず、事業の見直しを迫られるケースもあります。
市場調査や競合分析を行い、自社の強みが活かせる領域を見極めたうえで、中長期的な事業戦略を設計することが重要です。

現地の法制度・規制を事前に把握する

フィリピンでは、外資規制や税制、労働法など、日本とは異なる法制度が多く存在します。
業種によっては外資出資比率に制限が設けられている場合もあり、事前の確認が重要です。
また、制度そのものだけでなく、実際の運用や行政手続きに時間を要するケースもあります。
進出後のトラブルを避けるためには、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの公的機関が提供する情報や、現地の専門家の知見を活用しながら、最新の制度動向を把握しましょう。

信頼できる現地パートナーを選定する

フィリピンでの事業運営では、現地事情に精通したパートナーの存在が不可欠です。

行政対応や人材採用、商習慣への対応など、現地ならではの課題に対して適切な助言やサポートを得られるかどうかが重要です。
短期的な条件だけで判断せず、実績や信頼性、価値観の共有ができるかを慎重に見極めることで、安定した事業運営につながります。

フィリピン進出支援はエスネットワークスフィリピンにご相談ください


フィリピン進出を成功させるためには、法制度や商習慣、市場動向を理解するとともに、現地事情を熟知した専門家・パートナーを見つけることが重要です。

エスネットワークスフィリピンは、外資系企業の海外進出支援に豊富な実績を持ち、フィリピン現地に拠点を構えた体制で、進出前の調査から進出後の運営支援まで一貫したサポートを提供しています。

外資規制や会社設立手続き、税務・会計、労務管理といった複雑な実務にも対応できるため、初めてフィリピン進出を検討する企業でも安心して相談できます。

また、単なる手続き代行にとどまらず、進出目的や事業戦略に応じた実践的なアドバイスを行っている点も特徴です。

 フィリピン進出を検討している企業様や、進出後の課題にお悩みのご担当者様は、ぜひエスネットワークスフィリピンにご相談ください。


お問い合わせは

      


※1 日本貿易振興機構(ジェトロ)「2025年第1四半期GDP成長率、前年同期比5.4%、予想を下回る(フィリピン)

※2 日本貿易振興機構(ジェトロ)「第2四半期GDP成長率は5.5%、インフレの緩和で国内需要が堅調(フィリピン)

※3 日本貿易振興機構(ジェトロ)「第3四半期GDP成長率は4.0%、洪水対策予算問題で大幅に減速(フィリピン)

※4 日本貿易振興機構(ジェトロ)「旺盛な消費市場、日本製品にもチャンスフィリピンの投資環境(2)

※5 日本貿易振興機構(ジェトロ)「エレクトロニクス、量産型の輸出拠点で差別化フィリピン(2)

※6 日本貿易振興機構(ジェトロ)「Jポップを世界へ、JFK Musicの挑戦(フィリピン)

※7 日本貿易振興機構(ジェトロ)「マニラ首都圏の最低賃金、7月から日額50ペソ引き上げ(フィリピン)

※8 日本貿易振興機構(ジェトロ)「エコゾーンによる外資誘致、製造業は拡張投資が中心フィリピン(1)

※9 日本貿易振興機構(ジェトロ)「企業復興税優遇法の改正法(CREATE MORE法)が成立(フィリピン)

※10 日本貿易振興機構(ジェトロ)「外資に関する規制