フィリピン進出で必要な事業ライセンスと登録手続きを一覧で紹介


東南アジアの中でも高い経済成長率を維持しているフィリピンは、有望な海外進出先として多くの日本企業から注目を集めています。

 

しかし、実際にフィリピンで事業を開始するためには、会社設立に加えて各種ライセンスの取得や行政機関への登録手続きが必要です。

 

この記事では、フィリピン進出にあたって必要な事業ライセンスの種類、登録手続きの流れや注意点について、詳しく解説します。


フィリピン進出で必要な主要ライセンス・登録一覧

フィリピンで事業を開始するには、会社設立に加えて、営業許可や税務、社会保険など複数の手続きを段階的に進める必要があります。

複数の機関での登録手続きが必要なため、まずは全体像を把握しておくことが重要です。

 事業開始に向けた基本的な流れは、以下の通りです。 

  • 法人設立(SEC登録)
  • 税務登録(BIR)
  • 地方自治体での営業許可
  • 社会保険・労務関連登録
  • 必要に応じた追加ライセンス取得

 まずは、SEC(証券取引委員会)で法人登記を行い、会社としての法的な枠組みを整えます。

その後、BIR(内国歳入庁)で納税者登録番号(TIN)の取得や領収書発行の認可など、税務関連の登録を進めましょう。

 あわせて、事業所所在地の市区町村(LGU)において、Barangay Clearance(バランガイ許可)やMayor’s Permit(営業許可証)を取得する必要があります。

 従業員を雇用する場合は、SSS(社会保障制度)、PhilHealth(公적医療保険)、Pag-IBIG(住宅積立基金)への登録が義務付けられており、未登録のまま雇用すると罰則の対象となるため注意が必要です。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピン 外国企業の会社設立手続・必要書類 詳細

 なお、フィリピン現地法人の設立手続きや登録の進め方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

  フィリピン法人設立(会社設立)の流れと手続き|進出前に押さえる実務上の注意点


業種・目的別に必要なライセンス


フィリピンへの事業進出では、SECやBIRへの登録、地方自治体での営業許可といった基本的な手続きに加えて、業種によってはライセンス登録が必要な場合があります。

 ここでは、代表的な規制当局と関連する許認可の例を3つ紹介します。

 

FDA(食品医薬品局)

フィリピンで食品・医薬品・化粧品などを取り扱う場合は、FDA(食品医薬品局)からLTO(営業許可)の取得が必要です。

 また、製造・輸入・販売する製品ごとに、CPR(製品登録証明)を取得しなければ販売できない場合があります。

 CPRには有効期限が設定されているため、継続的に販売する場合は更新手続きも忘れないようにしましょう。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「健康食品の輸入規制、輸入手続き」「フィリピンにおける 化粧品の輸入制度

 

BSP(フィリピン中央銀行)

フィリピンで金融関連事業を行う場合は、BSP(フィリピン中央銀行)の規制対象となります。

特に、銀行業やノンバンク、送金サービス、電子マネー事業などは、厳格な資本要件や運営基準が定められており、参入要件の確認が重要です。

 また、BSPは外国為替取引や海外送金手続きも所管しています。

そのため、金融業以外の企業であっても、本国への利益送金や外貨建て取引を行う際に、BSPの登録や確認が必要になるケースがあります。

 

参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「外資に関する規制」「為替管理制度」「2.営業許可【ライセンス名称、所管省庁・機関、事業関連法(1.外資規制の4.(2))】

  

PCAB(フィリピン建設許可委員会)

フィリピンで建設業を行う場合は、PCAB(フィリピン建設許可委員会)のライセンス取得が必須です。

元請企業だけでなく、専門工事業者やサブコンも対象となり、無許可での工事請負は認められていません。

 PCABライセンスには、国内企業向けのRegular Licenseと、外国企業向けのSpecial Licenseがあり、外資比率が40%を超える企業は、案件ごとにSpecial Licenseを取得する必要があります。

入札参加や契約締結の前提条件となるため、プロジェクト開始前にスケジュールを見据えて準備しておきましょう。

 参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「フィリピンにおける建設工事の制度

 

事業ライセンス取得時の注意点

フィリピンで事業ライセンスを取得する際は、必要書類を揃えるだけでなく、外資規制や業種ごとの許認可要件、申請後の運用ルールまで含めて把握したうえで進めることが重要です。

特に、取得後の更新や報告義務を見落とすと、罰則や営業停止など重大なトラブルにつながるリスクもあります。

 フィリピンで事業ライセンスを取得する際、特に気をつけたいポイントは、以下の通りです。

 

外資規制と最低資本金要件

フィリピンでは、業種ごとに外資規制や最低資本金の要件が細かく定められています。

 まず確認したいのが、外資의参入可否や出資比率の上限が記載された「ネガティブリスト」です。

 ネガティブリストに該当する業種の場合、外資比率の上限を超える出資は認められていません。

該当しない業種であっても、外国資本が40%を超える企業が国内市場向けに事業を行う場合、原則として最低20万米ドル以上の払込資本金が求められます。

 小売業や銀行業、通信業など、個別法により追加の資本金要件や参入規制が設けられている業種もあるため、自社がどの規制に該当するのかを必ず確認しておきましょう。

 

参考:日本貿易振興会(ジェトロ)「外資に関する規制」「フィリピン 規制業種・禁止業種『第12次ネガティブリスト』

 

外資規制の詳細や誤解が発生しやすいポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。 

フィリピンにおける外資規制の全体像|進出前に押さえるべき基本ポイント

 

 

業種ごとの許認可の違い

フィリピンでは、同じ「販売」や「サービス」といった枠組みでも、取り扱う商品や提供する内容によって必要な許認可が異なります。

 例えば、一般的な小売業であればMayor’s Permit(営業許可証)のみで対応できるケースが多い一方で、食品・医薬品・化粧品を扱う場合は、FDAによる営業許可や製品登録が追加で求められます。

 詳細を把握せずに事業を開始すると、後から追加申請が必要となり、時間やコストが増大する可能性もあるでしょう。

会社設立時点で該当する業種分類や必要な許認可を明確にしておくことが重要です。

 

更新・年次報告義務の管理

事業ライセンスは取得して終わりではなく、継続的な更新や報告義務が伴います。

 例えば、Barangay Clearance(バランガイ許可)やMayor’s Permit(営業許可証)は毎年更新が必要で、更新時には地方税の申告・納付も必要です。

SEC(証券取引委員会)への年次報告や、BIR(内国歳入庁)への各種税務申告も継続的に対応しなければなりません。

 期限内に行わない場合、延滞金や罰金が発生するだけでなく、最悪の場合は営業許可の停止や取り消しにつながる可能性もあるため、管理体制を整えておきましょう。

 

フィリピンの事業ライセンスは現地パートナーや専門家の活用がおすすめ

フィリピンで事業を開始する際は、SEC(証券取引委員会)やBIR(内国歳入庁)への登録に加え、Mayor’s Permit(営業許可証)や業種別ライセンスの取得など、複数の手続きを行う必要があります。

さらに、外資規制や最低資本金要件、ライセンス取得後の更新・年次報告など、運用面での対応も求められるため、制度全体を正確に理解しておくこと重要です。

 煩雑になりがちな事業ライセンスの取得手続きについては、現地の制度に詳しい専門家やパートナーに相談しながら進めていくのが安心です。

 エスネットワークスフィリピンでは、法人設立やライセンス取得から、会計・税務・法務・人事労務・M&Aまで、フィリピン事業に関わる実務を一貫して支援しています。

 法人設立や事業ライセンスの取得については、ぜひエスネットワークスフィリピンまでご相談ください。

 

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本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する専門的な助言を意図したものではありません。本記事の内容に基づいて行われた対応の結果について、当社は責任を負いかねます。実際の手続や意思決定を行う際は、必ず最新の法令をご確認のうえで専門家へご相談ください。